事業の独立性を保ったまま事業承継が行える、相手を見極めたうえで事業承継ができるなど、多くのメリットがあるサーチファンド。ここでは、そんなサーチファンドの気になる“問題点”について解説しています。
また、PEファンドやM&Aとの違いも説明しているのでぜひチェックしてください。
欧米では広く普及しているサーチファンドですが、日本国内ではまだあまり認識されていないのが現状です。そのため、サーチャー(経営者候補)は投資家に対し、まずサーチファンドの基礎情報からしっかり説明する必要があるでしょう。この点はサーチャーにとってひとつの課題です。
そのほか、サーチ活動で良い買収先が見つからない、苦労して買収先を見つけても投資家の出資が受けられるとは限らない、といったリスクがある点もサーチャーは理解しておく必要があります。
企業に投資をし、企業価値を高めたうえで売却して利益を得る「PEファンド」。サーチファンドが、このPEファンドや一般的なM&Aとどういった点で異なるのか、以下にまとめました。
PEファンドではファンド組成時に買収資金の出資が行われますが、サーチファンドでは2段階に分けて出資が行われます。1段階目は、サーチャーが買収したい会社を見つけるためのサーチ活動に対する出資(活動資金の出資)、2段階目は対象会社を買収するために必要な資金の出資(買収資金の出資)です。この2段階出資の仕組みにより、経営実績が乏しいサーチャーでも買収にチャレンジしやすくなり、投資家側はリスクを抑えつつ有望な人材を応援できるのです。
また、投資対象においても違いがあります。PEファンドの主な投資対象は企業ですが、サーチファンドは個人に投資する仕組みと言えます。
サーチファンドにおいて主体となるのは経営者候補であるサーチャー個人です。そのため買収対象企業の経営者は、サーチ活動や交渉段階初期から、サーチャーの人柄や理念、資質などをしっかり見ることができます。つまり、十分な検討を行ったうえで事業承継を決断できるのです。
また、事業の独立性を保ったまま引き継がせることができる(社名や社歴も残せる)点や、“サーチャーを育てていく”という視点がある点も、一般的な企業買収と異なるところでしょう。
COMPARISON
後継者不在の中小企業の経営を引き継ぐ手法としてはM&Aが一般的ですが、買収前にどのような人材がトップに就任するのか不明のため、経営を託すオーナーや従業員が不安に感じたり、買収後に経営方針を巡って、古参の幹部たちとの間で不協和が生じたりするケースもあります。
人材紹介サービスを利用する方法もありますが、経営者としての意欲や知識を備えた人物が紹介されるとは限りません。そこで、いろいろな角度から後継者を探せる手段を比較、おすすめの会社をご紹介します。
事業承継希望者(サーチャー)が投資家から支援を受けながら、対象企業の経営権を取得・企業の価値向上を図る。オーナーは、買収交渉をしながら相手の人柄を把握することが可能。
譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間に立って、M&A交渉の仲介を行う。MA仲介業者が中立的かつ客観的な立場でM&A交渉の仲介・助言を行ってくれる。
経営経験のある優秀な人材をはじめ、MBAも取得しているプロ経営者の中から自社にマッチした人材の選定が可能なプラットフォームを利用できる。