後継者不在などによって、廃業を考える中小企業の経営者も少なくありません。この場合、廃業と第三者への事業譲渡(M&A)のどちらを選択すべきなのでしょうか。廃業とM&Aのメリットやデメリットについて比べてみました。
全国の中小企業(従業者数299人以下の企業)の経営者を対象に行ったインターネット調査(※2019年10月時点の調査)において、後継者が決定している企業は12.5%、廃業を予定している企業は52.6%でした。
さらに廃業を予定している企業の廃業理由の約29%が、「子どもがいない」「子どもに継ぐ意思がない」「適当な後継者が見つからない」といった、後継者難によるものです。
しかし、廃業を予定していると答えた中小企業のうち、4割以上の企業が「今後10年間の事業の将来性について、事業の維持、成長が可能」と答えています。つまり、事業的には継続可能であるのに、後継者がいないために廃業を選択せざるを得ないという状況に陥っているということ。廃業してしまうと、これまで築き上げてきた経営資源は失われてしまいます。これは、日本経済にとっても大きな損失です。
廃業とM&Aにおけるメリット・デメリットについて比較してみましょう。
廃業した場合もM&Aを実行した場合も、ともに税金がかかります。
解散の登記を行った日付が解散日となり、期首から解散日までの法人税、消費税、地方税などの確定申告と納税を行う。
解散後は、解散日の翌日から1年ごとに清算事業年度の申告が必要。清算終了後は残余財産確定事業年度の確定申告を行い、法人税、消費税、地方税の確定申告を行う。
COMPARISON
後継者不在の中小企業の経営を引き継ぐ手法としてはM&Aが一般的ですが、買収前にどのような人材がトップに就任するのか不明のため、経営を託すオーナーや従業員が不安に感じたり、買収後に経営方針を巡って、古参の幹部たちとの間で不協和が生じたりするケースもあります。
人材紹介サービスを利用する方法もありますが、経営者としての意欲や知識を備えた人物が紹介されるとは限りません。そこで、いろいろな角度から後継者を探せる手段を比較、おすすめの会社をご紹介します。
事業承継希望者(サーチャー)が投資家から支援を受けながら、対象企業の経営権を取得・企業の価値向上を図る。オーナーは、買収交渉をしながら相手の人柄を把握することが可能。
譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間に立って、M&A交渉の仲介を行う。MA仲介業者が中立的かつ客観的な立場でM&A交渉の仲介・助言を行ってくれる。
経営経験のある優秀な人材をはじめ、MBAも取得しているプロ経営者の中から自社にマッチした人材の選定が可能なプラットフォームを利用できる。