事業承継のポイントと補助金の活用

目次

事業承継のポイント

中小企業が事業承継を進めるには、どのようなポイントがあるでしょうか。大きく3つのポイントがあるので、ひとつずつ説明します。

税制や補助金の活用

日本の企業の99.7%は中小企業が占めています。これらの企業が事業承継をせず廃業してしまうと、従業員は職を失うこととなり失業者が増加するだけでなく、国としても経済に影響を与えてしまいます。

そのため国でも事業承継を後押しするため、「事業承継税制」や「補助金」などの優遇措置を取っています。事業継承をする場合にはできるだけ有利にできるよう、活用しましょう。

事業承継税制

事業承継税制とは、一定の要件を満たすことで事業承継に関する相続税や贈与税などが猶予・免除される税制度のことです。

事業承継では多額の相続税や贈与税がかかることがありますが、それを猶予・免除することで事業継承を行いやすくする目的があります。その他、事業承継税制によって登録免許税や不動産取得税も軽減されます。

ただしこの税制は時限措置です。2027年12月31日までの事業承継が対象となっており、2023年3月31日までに都道府県庁に「特例承継計画」を提出する必要があります。

また事業承継税制を利用できるのは、非上場企業に限ります。

自治体などの事業承継の支援・補助金

M&Aなどによる事業承継をサポートするため、自治体でも事業引継支援センターを設置してM&Aのマッチング支援を行っています。

また事業承継補助金を利用すると、事業継承で発生した経費の一部を補助してくれます。対象は事業承継をきっかけとして新しい経営体制となる企業となります。

ただし事業承継補助金を利用するには満たさなければならない要件があります。その要件は毎年変わるため、最新の事業承継保条件の要件を確認しましょう。

事業承継・引継ぎ補助金とは

事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業や小規模事業者の事業承継やM&Aなどを支援するものです。支援の対象によって3つの事業にわかれているため、以下の表で概要を把握してください。

申請類型 補助対象 補助率(※1) 補助上限
①経営革新 経営資源引継ぎ型創業や事業承継(親族内承継実施予定者を含む)、M&Aを過去数年以内に行った者、または補助事業期間中に行う予定の者 1/2、2/3
1/2
〜600万円
600〜800万円(※2)
②専門家活用 補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける者 1/2、2/3 〜600万円
※M&A未制約の場合は〜300万円
③廃業・再チャレンジ 事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業等を行う者 1/2、2/3 〜150万円

※1 補助率は補助対象の要件により異なります。

※2 一定の賃上げを実施する場合、補助上限を600万円から800万円に引き上げます。

補助金交付までのスケジュール

補助金の受付期間は約1か月しかありません。短期間での手続きとなるため事前の準備をしっかりしておきましょう。また交付決定後にも、補助金が交付されるまでの書類作成や提出、検査対応などしなければならないことが多くあります。補助金は後払い精算なので、資金調達も含め計画的に取り組みましょう。

【補助金交付までのスケジュール】

  • 1.認定支援機関への相談
  • 2.交付決定〜交付申請
  • 3.補助対象事業の実施
  • 4.実績報告→確定検査〜補助金額の確定
  • 5.補助金交付請求→補助金交付
  • 6.事業家状況報告等

承継者の代表者資格要件

経営革新型のうち、「経営者交代型」と「M&A型」の場合、承継者となる代表者は一定の経営経験があるなど、資格要件を満たす必要があります。

審査着眼点

申請類型により、審査の着眼点が異なります。以下にそれぞれの審査着眼点をまとめましたので、計画書作成の参考にしてみてください。

【経営革新型】

  • 経営革新等に係る取り組みの独創性
  • 経営革新等に係る取り組みの実現可能性
  • 経営革新等に係る取り組みの収益性
  • 経営革新等に係る取り組みの継続生

【専門家活用型】

  • 経営資源引継ぎ計画の適切性
  • 財務内容の健全性
  • 買収・譲渡等の目的・必要性
  • 買収・譲渡等による効果・地域経済への影響

2024年1月事典の募集状況

2024年1月26日に、8事項簿の公募要領(改訂版)が掲載されています。併せて加点事由としての賃上げ申請時に使用する様式も掲載されているので、「事業承継・引継ぎ補助金」のサイトより公募要領をご覧ください。

経営革新・専門家活用・廃業・再チャレンジのそれぞれを、ダウンロードして入手できます。

参照元:事業承継・引継ぎ補助金(https://jsh.go.jp/r5h/

事業承継を行う場合には慎重に行う必要があります。下記ページでは後継者を探すための方法を紹介していますので、ぜひご参考ください。

 
人材ファーストの後継者探し
サーチファンドからM&Aまで

後継者を探せる手段を紹介

COMPARISON

 

後継者不在の中小企業の経営を引き継ぐ手法としてはM&Aが一般的ですが、買収前にどのような人材がトップに就任するのか不明のため、経営を託すオーナーや従業員が不安に感じたり、買収後に経営方針を巡って、古参の幹部たちとの間で不協和が生じたりするケースも...。
人材紹介サービスを利用する方法もありますが、経営者としての意欲や知識を備えた人物が紹介されるとは限りません。そこで、いろいろな角度から後継者を探せる手段を比較、おすすめの会社をご紹介します。

サーチファンド
特徴

事業承継希望者(サーチャー)が投資家から支援を受けながら、対象企業の経営権を取得・企業の価値向上を図る。オーナーは、買収交渉をしながら相手の人柄を把握することが可能

優れている点
  • 社歴や社名が残せる
  • サーチャーと買収候補企業がお互いを見極める期間を十分とれる
こんなオーナーにおすすめ
次世代育成に取り組みたい、意欲ある若者に、チャンスをあげたい。
若者のアイディアでよりよくしていってもらいたい
MA仲介サービス
特徴

譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間に立って、M&A交渉の仲介を行う。MA仲介業者が中立的かつ客観的な立場でM&A交渉の仲介・助言を行ってくれる

優れている点
  • M&Aの検討から成約までの時間が短い
  • 創業利益、廃業コストがかからない
こんなオーナーにおすすめ
できれば早く事業を手放したい
保有する株式を売却、現金化することで、廃業コストをかけずに第二の人生を歩む資金を得たい
プロ経営者紹介
特徴

経営経験のある優秀な人材をはじめ、MBAも取得しているプロ経営者の中から自社にマッチした人材の選定が可能なプラットフォームを利用できる。

優れている点
  • 1500名のプロ経営者候補の中から、会社にあう後継者を選ぶことができる
  • 株式の売却前に後継者を見定めることができる
こんなオーナーにおすすめ
後継者をしっかりと見定めてから譲りたい
数多くの経営経験のある優秀な候補の中から選びたい