後継者不在で事業承継を行うには、外部経営者を招へいするという方法もあります。しかし、外部経営者の招へいは失敗するパターンも少なくありません。外部経営者を招へいした事業承継の失敗例とポイントについてまとめています。
外部経営者の招へいとは、親族でも従業員でもなく、外部から経営者を招いて社長を引き継ぐこと。その場合、いくつかのパターンがあります。
すでに同業他社の社長を務めていたり、経営経験を持ったフリーの人材を連れてきて、事業を引き継ぐパターン。同業での経営経験があれば、経営未経験の人よりも成功する可能性は高くなりますが、よほどの人脈がない限り、経営者が自ら適任となる人材を探すのは困難です。
M&Aが行われた場合、一般的に後任の社長は譲受側企業の中から登用されます。これにより譲受側企業からのバックアップが期待できますが、経営未経験の人材が抜擢される可能性も高くなります。
M&Aの売却先がファンドの場合、ファンドが後任の経営者を連れてくるというパターンもあります。ファンドは情報力や資金力を持っているため、経験豊富な経営者を連れてきてくれる可能性が高いのですが、事業承継後、以前の経営体制等と大きく変わってしまうという場合も多いようです。
同業の経営経験があったとしても、それは同じ企業ではないため、その経験が必ずしも役に立つとは限りません。例えば同業であっても、規模が異なるとかじ取りの仕方は異なります。とくに大企業での経営を経験した人の場合、中小企業の経営がマッチしないケースも稀ではありません。
経営者としての経験や実績があるほど、得意とするスタイルが決まってしまうため、その会社の社風や文化と、後任経営者のスタイルがまったく異なるという場合には、事業承継はうまくいきません。従業員が反発して離職してしまうという可能性もあります。
経験豊富な経営者の場合、いくつもの会社の経営経験を得てステップアップしようという志向を持っている人も少なくありません。そのため、ひとつの会社の経営を一時的なキャリアとしか見ていないケースもあります。前社長が後任者に長期的な経営を願って任せたとしても、後任者が数年で次の会社に移ろうと考えている場合、事業承継がうまくいかないというパターンも多いのです。
外部経営者を招へいした場合、社員や株主、親族などからの反対を受けることがあるため、十分な理解を得ておかなければなりません。
また、中小企業の場合、融資などの個人保証の問題が出てくるので、事業会社と保証を管理する会社を分けるなどの対応が必要になります。
COMPARISON
後継者不在の中小企業の経営を引き継ぐ手法としてはM&Aが一般的ですが、買収前にどのような人材がトップに就任するのか不明のため、経営を託すオーナーや従業員が不安に感じたり、買収後に経営方針を巡って、古参の幹部たちとの間で不協和が生じたりするケースも...。
人材紹介サービスを利用する方法もありますが、経営者としての意欲や知識を備えた人物が紹介されるとは限りません。そこで、いろいろな角度から後継者を探せる手段を比較、おすすめの会社をご紹介します。
事業承継希望者(サーチャー)が投資家から支援を受けながら、対象企業の経営権を取得・企業の価値向上を図る。オーナーは、買収交渉をしながら相手の人柄を把握することが可能。
譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間に立って、M&A交渉の仲介を行う。MA仲介業者が中立的かつ客観的な立場でM&A交渉の仲介・助言を行ってくれる。
経営経験のある優秀な人材をはじめ、MBAも取得しているプロ経営者の中から自社にマッチした人材の選定が可能なプラットフォームを利用できる。