ここでは、サーチファンドのメリット・デメリットを紹介しています。
サーチファンドのメリットは、買収される会社からの視点と、サーチャー側の視点で異なります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
サーチファンドは基本的にキャピタルゲインを狙う投資手法ですが、サーチファンドの仕組みを事業承継に活用することもできます。対象となる中小企業が事業承継のためにサーチファンドを積極活用するようになれば、近年課題となっている事業承継問題も改善の兆しが見えてくるでしょう。
近年、仲介会社等を通して企業が企業を買収する事業承継のかたちが増加していますが、このケースでは、買収された企業側が事業の独立性を保つことはできません。買収企業のグループ企業になる場合には、社名も変わり社歴も残らない可能性があります。
この点、サーチファンドは個人が買収する仕組みのため、どこかの企業の子会社になることはありません。事業の独立性を保つことができ、社名や社歴も残せます。
マッチングサイトや仲介会社等を通したM&Aは、その締結までに経営者同士が顔を合わせる機会はあまりありません。そのため買収側の企業理念や価値観などを締結前に見極めることは難しいケースも多いです。
一方サーチファンドでは、サーチャーと買収対象企業がそれぞれ相手を見極める期間が十分にあります。両者にとって、価値観の合う相手を探しやすいというメリットがあるのです。買収後に経営方針や価値観の違いでトラブルが起きる心配も少ないでしょう。
サーチファンドでは、サーチャーが企業の成長を実現したら成功報酬を受け取ります。その額は、サーチファンド事例が多い欧米では事業拡大の度合いに対し2~3割と言われています。かなりの高額になるケースも多く、サーチャーは高いモチベーションをもってサーチファンドに望めます。
参照元:Japan Search Fund Accelerator (https://japan-sfa.com/model/)
サーチファンドでは、経営者の経験が乏しい人材であってもサーチャーになることができます。“能力はあるけれど経験が少ない”という人材が、すぐに経営者としての経験を積むことができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
続いて、デメリットと言えるものを2つ挙げました。
サーチャー個人が買収対象の企業を探し、その後の経営まで行うサーチファンドでは、サーチャー個人としての能力が非常に重要となります。この“サーチャーの能力に大きく依存する”という点は、買収対象の企業や投資家にとってデメリットにもなり得るでしょう。
サーチャーはまだ経験の少ない30代や40代の若手であることも多く、過去の実績よりも本人のポテンシャルからその能力を見抜く必要があると言えます。
サーチファンドは、投資家による投資がなければ成立しません。期待利回りが低ければ投資を得られず、買収できずに終わる可能性もあります。サーチャーは、“いかに良い企業を探してきて高い期待利回りを投資家に示せるか”が求められます。
COMPARISON
後継者不在の中小企業の経営を引き継ぐ手法としてはM&Aが一般的ですが、買収前にどのような人材がトップに就任するのか不明のため、経営を託すオーナーや従業員が不安に感じたり、買収後に経営方針を巡って、古参の幹部たちとの間で不協和が生じたりするケースもあります。
人材紹介サービスを利用する方法もありますが、経営者としての意欲や知識を備えた人物が紹介されるとは限りません。そこで、いろいろな角度から後継者を探せる手段を比較、おすすめの会社をご紹介します。
事業承継希望者(サーチャー)が投資家から支援を受けながら、対象企業の経営権を取得・企業の価値向上を図る。オーナーは、買収交渉をしながら相手の人柄を把握することが可能。
譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間に立って、M&A交渉の仲介を行う。MA仲介業者が中立的かつ客観的な立場でM&A交渉の仲介・助言を行ってくれる。
経営経験のある優秀な人材をはじめ、MBAも取得しているプロ経営者の中から自社にマッチした人材の選定が可能なプラットフォームを利用できる。