自社株を譲渡することでM&Aによる事業承継が行われますが、自社株をファンドに売却することで事業承継が成立するケースもあります。事業承継で活用できるPEファンドについて解説します。
PEとは、非上場企業の株式のこと。取引所で売買されない、いわゆる未公開株のことで、企業の創業者やその親族、取引先などが保有していることが多く、証券取引所で売買することはできません。その非上場企業に投資することをPE投資といい、PEファンドとは、PE投資を行う投資ファンドのことをいいます。
PEファンドでは、投資した企業の企業価値を最大限まで引き上げるという特徴があります。株式を取得したことで議決権を得たファンドは、対象企業に専門家チームを送り、専門知識やノウハウ、コネクションを駆使して、対象企業のポテンシャルを最大限まで引き上げます。その企業価値を高め、株価が上がったところで株式を売却して利益を得ます。
まず、ファンドの運営会社がファンドを設立し、機関投資家を中心に出資を募ります。その資金は複数の投資先へ出資されます。非上場企業への投資を行うPEファンドのリスクは高くなるため、出資時にレバレッジをかけて、リターン率を高めることもあります。
投資先企業(A社)の資産を担保に入れて金融機関から借り入れをし、出資金とは別の資金をA社に追加して投入することでリターン率が高まります。この資金調達の方法をLBO(レバレッジドバイアウト)ローンといい、これができれば、ファンドからの出資金を減らすことなく、より多くの投資先へ出資することができます。
最終的に、投資先企業をM&Aで売却したり、IPO(新規株式公開)を行うことで得た利益をファンドが回収します。その投資期間は3~5年が一般的ですが、まれに、10年近く株式を持ち続ける場合もあります。
ファンド側から専門家チームが派遣され、問題点の把握や新たな経営手法による業務改善が行われます。こうしたサポートにより、企業価値が高まるといわれています。
PEファンドは多くの機関投資家からの投資を受けているため、豊富な資金を有します。ファンドからの出資金は借入金ではないので、元本を返済したり金利を払う必要はなく、すべて企業価値を高めるための資金として投入することができます。
さまざまな企業に投資しているPEファンドは、多様な業界ともコネクションを持っているので、自社のコアな事業にもぴったりな人材を紹介してもらうことが期待できます。
PEファンドのイグジットはM&Aであり、PEファンドにはM&Aの専門家が多数在籍しています。企業価値を最大限まで高め、ふさわしい売却先企業を見つけてもらうことも可能です。
地盤調査や地盤補強工事などの事業を営む中堅企業がPEファンドとのM&Aを実施。人材紹介会社から紹介された候補者の中から、譲渡企業に近い業界での経験を持つ人材を新社長に擁立し、社内改革をスタート。
今回のM&Aと社長交代は、会社が次のステージに進むためのステップであることを丁寧に説明し、PEファンドがサポートする3~5年の間に業績向上を目指して動けるような仕組みを作ることの重要性を伝えると、社内の理解促進が向上。社員が自主的・自律的に業務改善に取り組むようになった。
COMPARISON
後継者不在の中小企業の経営を引き継ぐ手法としてはM&Aが一般的ですが、買収前にどのような人材がトップに就任するのか不明のため、経営を託すオーナーや従業員が不安に感じたり、買収後に経営方針を巡って、古参の幹部たちとの間で不協和が生じたりするケースもあります。
人材紹介サービスを利用する方法もありますが、経営者としての意欲や知識を備えた人物が紹介されるとは限りません。そこで、いろいろな角度から後継者を探せる手段を比較、おすすめの会社をご紹介します。
事業承継希望者(サーチャー)が投資家から支援を受けながら、対象企業の経営権を取得・企業の価値向上を図る。オーナーは、買収交渉をしながら相手の人柄を把握することが可能。
譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の間に立って、M&A交渉の仲介を行う。MA仲介業者が中立的かつ客観的な立場でM&A交渉の仲介・助言を行ってくれる。
経営経験のある優秀な人材をはじめ、MBAも取得しているプロ経営者の中から自社にマッチした人材の選定が可能なプラットフォームを利用できる。